東京地方裁判所 昭和59年(ワ)8534号 判決
【主文】
一 被告は、その営業上の施設又は活動に「株式会社エーザイ」及び「エーザイ」の標章を使用してはならない。
二 被告は、その看板・印章・ゴム印、バッジ及び印刷物から「株式会社エーザイ」及び「エーザイ」の標章を抹消せよ。
三 被告は、「株式会社エーザイ」の商号登記の抹消登記手続をせよ。
四 訴訟費用は被告の負担とする。
五 この判決は、第三項を除き、仮に執行することができる。
【事実】
第一 当事者の求めた裁判<省略>
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告は、東京都に本店を有し、医薬品、医薬部外品及び医療用機械等の製造販売を行う法人であり、「エーザイ株式会社」及び「エーザイ」の表示(以下これらを「原告表示」という。)のもとに右営業活動を行つている。
原告は、設立以来、その製品の有効性及び安全性により着実に高い評価を獲得し、巧みな広告活動と相まつて、現在我国屈指の医薬品等の製造メーカーとしてゆるぎない地位を築いている。昭和五六年四月現在における営業実績は、前年度総売上げ一〇三三億六五〇〇万円(業界国内ランキング第六位、世界ランキング第三九位)、総社員数三一〇六名、国内の支店営業所数三九、関係会社数九社にわたり、また海外においても関係会社、支店等一二個所の事業拠点をもつに至つており、新聞、テレビ、ラジオ等の広告活動も活発に行つており、我国内においては、昭和五六年四月現在において既に原告表示は原告の営業であることを示す表示として広く認識されている。
2 被告は、自動車部品及び各種食料品の輸出入及び販売、建設機械、架設機の製造、販売、賃貸、修理を主たる業務とする法人であり、昭和五六年四月一五日、有限会社エーザイから株式会社エーザイに組織変更の登記をし、以来「株式会社エーザイ」及び「エーザイ」の標章(以下これらを「被告標章」という。)を使用して営業活動を行つている。
3 被告の使用する「株式会社エーザイ」の標章は、原告の商号と、単に会社の種類を示す「株式会社」の文字位置が異なるにすぎず、一般人において両者を判別するのは困難であり、両者は極めて類似している。また、被告の使用する「エーザイ」の標章は原告の使用する「エ(ママ)ザイ」の表示と全く同一である。
4 被告が現実に行つている営業は、自動車部品の輸出入販売、自動車部品となる機械の販売等であり、原告はこれらを直接営業として行つているわけではない。しかし、原告は医療用機械の製造販売をも行つており、原被告の営業活動は機械の販売という共通した部分が存するし、また原告表示の周知性に鑑みれば、被告において被告標章を使用するならば、原告が被告の営業を行つているかのように誤認混同されるおそれがあり、この誤認混同により、原告は種々の営業上の利益を害されることとなる。
5 よつて、原告は、被告に対し、不正競争防止法一条一項二号に基づき、被告標章の使用の差止、看板等からの被告標章の抹消及び被告商号登記の抹消登記手続を求める。
二 請求原因に対する認否
請求原因事実はすべて認める。
【理由】
請求原因事実は当事者間に争いがなく、右事実によれば、原告の請求はいずれも理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、仮執行の宣言につき同法一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(元木 伸 安倉孝弘 一宮和夫)